畳の寿命を見極める!色・踏み心地・カビで判断する表替えと畳替えの選び方
# 畳の補修と替え時期について
## ポイント1:畳の劣化を見分けるサイン
畳は私たちの足が毎日触れる場所だからこそ、その変化は意外と気づきにくいものです。しかし、いくつかの劣化サインを知ることで、適切なタイミングでメンテナンスを検討できます。
最初に注目すべきは、畳の表面の色合いです。新しい畳は青々とした緑色をしていますが、日光に当たると徐々に黄色くなり、やがて褐色へと変わっていきます。この色の変化は自然なものですが、変色が進むにつれて、畳の繊維は紫外線によってダメージを受けています。特に南向きの部屋では色が濃くなりやすく、この段階で表面を張り替える「表替え(おもてがえ)」※1の検討が目安となります。
次に、触れた時の感覚を確認してください。新しい畳を踏むと、適度なクッション性があり、気持ちの良い感触があります。しかし劣化が進むと、踏んだ時に硬くなったり、逆にふかふかしすぎたりします。また、指で押してみた時に、戻りが遅くなるのも劣化のサインです。これは内部の素材が圧縮されている証拠です。
さらに、表面にカビやダニの跡がないか確認することも重要です。湿度が高い季節に、畳の端に黒い点々が見られたり、酸っぱい臭いがしたりする場合は、表面だけでなく内部にも問題が生じている可能性があります。このような場合は、表替えではなく「畳替え(たたみがえ)」※2を検討すべき時期です。
## ポイント2:表替えと畳替えの選択基準
畳のメンテナンスには、大きく分けて二つの選択肢があります。どちらを選ぶかは、劣化の程度と経済性を考慮して判断します。
表替えは、畳の表面部分(い草で織られた部分)だけを新しいものに取り替える方法です。畳の芯(しん)※3と呼ばれる下地は変わりません。費用は新しく畳を購入するより低く抑えられ、一般的に一枚あたり5,000~8,000円程度が相場です。表面の色が変わってきたけれど、踏み心地はまだ悪くない場合や、シミや軽い傷がある場合に最適です。作業期間も短く、通常1~2日で完了します。
一方、畳替えは、畳全体を新しいものに取り替える方法です。費用は表替えの2~3倍かかりますが、芯からすべてリセットされるため、まるで新築の部屋に戻ったような感覚を得られます。芯の部分が湿度を吸収しきれなくなった場合や、踏み心地が極端に変わった場合、カビやダニの被害が広がっている場合に適しています。
東京近郊の一般的な住宅では、畳の寿命は表面で7~10年、全体で15~20年とされています。つまり、その中間で一度表替えを行い、その後に畳替えを検討するというサイクルが効率的です。
## ポイント3:業者選びと購入時のポイント
畳の補修や購入を検討する際、どの業者を選ぶかは仕上がりの満足度を大きく左右します。
まず確認すべきは、業者が畳の素材について詳しく説明できるかという点です。い草の産地や品質によって価格が変わりますが、良心的な業者であれば、予算に応じて複数の選択肢を提案してくれます。東京近郊では、熊本産や福岡産のい草が一般的ですが、これらの素材がどのような特徴を持つのか、丁寧に説明してくれる業者は信頼できます。
次に、見積もりの内容が詳細であるかを確認してください。表替えなのか畳替えなのか、素材の等級はどうか、作業の具体的な流れはどうか、廃材の処理費は含まれているのか。こうした項目が明記されていない見積もりは避けるべきです。
また、可能であれば複数の業者に見積もりを依頼することをお勧めします。同じ条件で複数の業者から提案を受けることで、適切な相場が見えてきます。その上で、単に価格の安さだけでなく、対応の丁寧さやアフターサービスも総合的に判断することが大切です。
東京近郊では、各地域に畳業組合が存在し、その組合に属する業者を選ぶと、一定の品質基準が保証される傾向があります。ホームページや口コミだけでなく、このような公式な組織の情報も活用すると、より安心できる業者選びができるでしょう。
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※1 表替え:畳の上面(表)を新しいものに交換する作業
※2 畳替え:畳全体を新しいものに交換する作業
※3 芯:畳の下地となる部分で、通常はわら床やボード床で構成されている

